地味にすごいニュースは意外と見過ごされがちです。
その典型とも言えるのが、宇都宮市が税収豊かで、地方交付税を受けずに財政運営ができる不交付団体の仲間入りした報道です!
→栃木県1478億円、市町分877億円に 普通交付税7年連続増 不交付団体となった市町も(下野新聞)
栃木県内では、宇都宮市と芳賀町の2つの市町村だけが不交付団体となりました。
都道府県レベルでは、東京都以外のすべてのエリアが地方交付税に頼っているという現実を考えると、これがいかに特別なことかがわかります。
人口減少と少子高齢化が進む今の時代において、豊かな税収を持つ宇都宮市がどれだけ恵まれているのか、そして長期的な不動産相場にどのような影響があるのか、今回はこのテーマを考察してみます。
不交付団体って、実はとんでもなく珍しい存在です
まず驚くべき数字をお伝えしましょう。
全国1,788の地方自治体のうち、不交付団体はわずか83団体。
つまり、たった4.6%しか存在しません!
95.4%の自治体が国からの地方交付税に頼っているという現実を考えると、宇都宮市がいかに特別な立場にあるかがわかります。
さらに驚くべきことに、47の県庁所在地で確実に不交付団体となっているのは名古屋市だけ。
つまり宇都宮市は、県庁所在地としては極めて希少な「財政自立都市」なのです。
これは単なる財政指標ではなく、都市の持続可能性を示す重要な証明書と言えるでしょう。
産業拠点とLRT開発の連携効果
この快挙の背景には、長年にわたる地道な企業誘致が大きく貢献しています。
そして、それにプラスして、2023年に開業したLRTと、清原工業団地という約1万3,600人が働く一大産業拠点との見事なネットワーク連携効果です。
清原工業団地には36の企業・組合が立地し、多くの大手企業が集積しています。
先日の報道で、キヤノンは、新たに500億円の巨額投資をした新工場を9月に稼働する予定との報道もありました。
→キヤノン、半導体装置21年ぶり新工場 AIブームで従来型に再び光(日本経済新聞)
これだけでも、宇都宮市にものすごい金額の税収増をもたらします!
加えて、Hondaが2026年に三重ホンダヒートの活動拠点を宇都宮市に移転することを発表しました。
これは単なるスポーツチームの移転ではなく、Hondaの宇都宮地域への長期的なコミットメントを示すシンボリックな投資と言えるでしょう。
ここで重要なのが、LRTとの相乗効果です。
約1万3,600人という大規模な雇用を生み出す清原工業団地が、LRTによってJR宇都宮駅と直結されたことの意味は計り知れません。
従来、清原工業団地への通勤は自動車に依存していましたが、LRTの開業により公共交通でのアクセスが劇的に改善されました。
キャノンが追加投資を決めた理由は世界的な経済情勢の影響が大きいでしょうが、それでもグーローバル巨大企業の生産拠点として、宇都宮市が選ばれ続ける可能性を高めたLRT効果は絶大です。
LRT沿線と産業拠点の連携が生み出す好循環効果
この連携効果は既に数字に表れています。
LRT沿線の平均賃料は開業時から9.8%上昇し、公示地価の上昇率トップ3をLRT沿線の住宅地が独占する状況となりました。
これは単なる交通利便性の向上ではなく、約1万3,600人という安定した雇用と、それを支えるおしゃれな公共交通インフラが生み出した「住みたい街」への変化です。
朝夕の通勤ラッシュ時には、多くのサラリーマンががLRTで通勤する光景が当たり前となり、これまで車でしかアクセスできなかった郊外の産業拠点が、都市機能と有機的に結ばれることで、宇都宮市全体の魅力が飛躍的に向上しました。
こうした製造業の集積とLRTインフラの組み合わせにより、宇都宮市は景気変動に比較的強い税収基盤を構築できたと言えます。
固定資産税、法人市民税、個人住民税のバランスの取れた税収構造に加え、LRT沿線の不動産価値上昇による税収増加も相まって、財政の安定性を支えているのです。
人口減少時代の「選ばれる都市」としての優位性
ここからが本題です。
人口減少・少子高齢化が進む日本において、産業拠点とLRTの連携による不交付団体化の真の価値が発揮されるのはこれからなのです。
95.4%の自治体が国の財政政策に左右される中、宇都宮市は独自の判断で予算配分や政策実行が可能です。
1万3,600人という安定した雇用基盤と、それを支えるLRTインフラがあることで、子育て支援、高齢者福祉、都市インフラ整備において、他都市との決定的な差別化を図ることができます。
全国的な人口減少の中で、「働く場所がある」「公共交通が充実している」「財政が安定している」という三つの条件を満たす自治体への人口集中が加速しています。
限られたパイを奪い合う競争において、宇都宮市は圧倒的に有利な立場にあります。
これは単なる理論ではなく、現実に起こりつつある人口ストロー効果の始まりなのです。
インフレの影響で、地方の公共事業は事業費増と受注者の不在で迷走しているなか、事業費増加分を安定的に調達できる宇都宮市は優位な立場にいます。
これから予定されているLRT西側延伸のような大型インフラ投資においても、プラスの効果があると予想されます。
不動産市場への長期的なプラス効果
では、この「税収リッチな街」への変貌が、不動産市場にどのような影響をもたらすのでしょうか。
まず考えてみてください。
あなたが住む場所を選ぶとき、何を重視しますか?
仕事があること、通勤が便利なこと、そして子育てや老後に安心できる行政サービスがあること。
この三つすべてを満たす街が、全国でどれだけあるでしょうか。
宇都宮市は、「雇用の安定」、「交通の利便性」、そして不交付団体としての「充実した行政サービス」という三拍子が揃った、極めて稀有な街へと変化しています。
人は必ず「より良い環境」を求めて移動します。
栃木県内を見渡しても、財政難で公共サービスが縮小される自治体が増える中、宇都宮市の魅力は、今後ますます際立っていきます。
LRT開業からわずか1年余りで、沿線の賃料が約10%上昇したのは好サイクルシグナルです。
大手企業が集積する安定した雇用環境があり、LRTで快適に通勤でき、しかも充実した行政サービスが受けられる。
このような好条件が企業と人を惹きつけています。
今が投資のベストタイミングかもしれません
マイホームや不動産投資を考えている方にとって、宇都宮市は今まさに「買い時」を迎えているのかもしれません。
なぜなら、この街の真の価値に気づいている投資家は、まだそれほど多くないからです。
全国で4.6%しかない不交付団体で、県庁所在地では名古屋市に次ぐ希少性。
LRT沿線にはさらなる産業団地の整備計画もあり、安定雇用とLRTインフラという二重の安心材料が期待できます。
過去ログ→【ますます加熱するLRT沿線の不動産開発!?】宇都宮市が新産業団地整備へ2候補地を選定!
これだけの条件が揃った投資先は、今後どんどん少なくなっていくでしょう。
特に注目すべきは、LRT沿線の中でもベルモール周辺エリアです。
新産業団地以外にも平石停留所の眼の前に、全国屈指のアーバンスポーツを楽しめる場所を提供する、大型公園の整備がまもなく完了します。
過去ログ→【LRT沿線の魅力アップ!新たなランドマーク「アークタウン宇都宮」が来年開園!】新公園開発の経済効果を考えてみたら!?
公園整備が完了すると、沿線はさらなる魅力アップとなり、今後も安定した地価上昇が続くと予想されます。
長期保有を前提とした投資戦略であれば、宇都宮市のLRT沿線エリアは理想的な選択肢と言えるでしょう。
人口減少で全国の不動産価格が下落圧力を受ける中、「選ばれる街」の不動産だけが価値を維持・向上させるという二極化は今後さらに加速するでしょう。
最後に:見逃せない歴史的転換点
宇都宮市が不交付団体になったことは、見過ごされるニュースではありません。
人口減少が進む日本において、地方都市は生き残りをかけた競争にさらされており、明確な「勝ち組」としての地位が与えられたようなものです。
宇都宮市で普段暮らしていると実感がわきにくいのですが、他の地方では、財政は非常に厳しい状態で、全国1,788自治体のうち95.4%が交付税頼りです。
大手企業が集積する産業拠点とLRTというみんなが乗りたいと思うスマートな交通インフラ、そしてそれらを支える安定した財政基盤。
この三つが揃った街は、全国を見渡してもそう多くはないのです。
むしろ宇都宮市は、人口減少時代の「理想的な地方の都市モデル」と言えるのかもしれません。
今回の宇都宮市の不交付団体入りは、時代の逆を行く極めてまれなケースであり、不動産市場にとって、長期的な投資を呼び込む大きな材料となります。
この歴史的な転換点を見逃すことなく、賢明な判断をしていただければと思います。
今回の内容が、皆さまのお役に立てば幸いです🙌
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