【近所の迷惑な危険な放置空き家を行政が解体した場合!?】費用は誰が負担するの?

2021年12月9日木曜日

宇都宮市の不動産と街の動向 不動産ビジネスあれこれ 不動産売却

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皆さんは「行政代執行」という言葉をご存じでしょうか?


専門家は「代執行」と省略して表現しますが、簡単に説明すると行政による強制手段の一つです。



手順や要件は行政代執行法(昭和23年法律第43号)によるとされていますが、行政庁により命じられた行為を義務者が履行しない場合、他の方法や手段によってその履行を確保することが困難であり、かつ放置することが著しく公益に反すると認められるときは、行政が自ら、もしくは第三者により義務者のなすべき行為をなすことができる。


ちょつと難しい表現になってしまいましたが、この「代執行」がどんなときに行使されるかというと、例えば草刈り条例に違反している雑草の除去や、時折、テレビなどで見かけるゴミ屋敷のゴミ処分なんてのも「代執行」です。


ですが最も大掛かりなものとしては、タイトルに用いた「代執行による放置空き家の解体」です。


宇都宮市内でも見かける、手入れの行き届いていない空き家。


手入れをせずに放置していれば屋根の板金などが腐食して、強風により剥がれ飛んでしまい通行人や近隣住宅に被害を及ぼす可能性や、不審火の原因になったりもします。


近所に放置された空き家が存在すれば、近隣の方は心配になりますよね。


このような放置空き家の問題は、喫緊に解決しなければならない国の課題とされ、そのため平成26年に「空き家対策特別措置法(正式名称_空き家対策の推進に関する特別措置法)が施行されました。


この法律により、所有者が不明であっても立ち入り調査が実施できるようになり、固定資産税情報などの所有者特定に必要な情報の利用や取得が認められました。


また、従来は縦割り行政の弊害として共有されていなかった個人情報も、マイナンバー(個人番号)の割り当てにより共有化が達成されています。


2024年から登記は義務化されますから、放置している空き家の所有者は確実に炙りだれてくるでしょう。


登記の義務化についてはコラムでも何度か取り上げていますので説明は割愛しますが、所有者が判明し「放置している空き家の管理をしなさい!!」と、行政から助言や指導が入っているのに放置を続ければどうなるのか……


これにかんして『秋田魁新報社』のネットニュースに、代執行による解体の記事が掲載されていました。



【危険な空き家、行政代執行で解体 能代市】掲載記事はこちらから



空き家は築48年の木造2階建て延べ床面積約46㎡と報じられていますが、状況は写真の通り、屋根・壁のトタンが劣化しており強風により剥がれ、通行人や周囲の住宅に危険が及ぶ可能性が高く、先ほど解説した「放置することが著しく公益に反すると認められる」状態でした。


記事に所有者に関しての記載がなかったので、行政による助言や指導がどのように行われたかまで分かりませんが、結論として行政代執行により解体されました。


さて、代執行により行政が解体を実施すれば当然に解体費が発生しますが、費用が税金で賄われるかといえば、そんなワケありません。


所有者に請求されます。


「空き家対策特別措置法」による解体代執行の手順では、解体によるほか公益の安全性を確保できない場合は「解体除去」の助言・指導が実施され、それに従わない場合には行政が解体見積を取得して、その金額を所有者に送付するとともに「管理の命令に従わなければ、送付した解体金額で発注し行政が解体をしますよ。費用は請求しますからね」と通達します。


これにも応じなければ、いよいよ代執行により解体されてしまうのですが……


おそらくではありますが、この解体見積、自ら業者に依頼して解体したほうが高確率で「安く」なると思います。


考えて見てください。


表現は悪いかも知れませんが、行政はあくまでも「他人事」ですから複数の業者から見積もりを取って金額を検証したり、「もっと安くなりませんか……」と必死に値引き交渉なんてしません(それほど暇でもないでしょうから)


行政からの解体費請求は、ある意味で税金と同じ性質のものですから速やかに支払わないと、財産が「差し押さえ」されます。


ところで解体費ですが、毎年のように値上がりしているのはご存じでしょうか?


業界情報ですが、建物解体費は今後、上がることはあっても下がることはありません。


私たち不動産業者は、劣化が著しい住宅の場合など、解体して更地販売を推奨する場合も多くあり、業務として頻繁に見積もりを取得します。


取得した見積をチェックすると、処理単価が上昇していることが分かります。


気のせいではなく明らかに金額が上昇しているので、親しい業者に


「年々、解体費が高くなっているんだけど気のせいではないですよね?」と聞いたところ、


「ええ、企業努力はしているのですが値上げするしかないのが実情です」との返答がありました。


背景には、まずリサイクル法があります。


リサイクル法は容器包装・家電・自動者など、その対象により管轄省も施行が開始された年度も様々ですが、建物に関してのリサイクル法(建設リサイクル法_管轄・国交省)は平成14年3月5日に交付されています。


それ以前は混載ゴミとして分別もされず、重機でバラしたらまとめてトラックに積み込み処理場に搬入していた解体ゴミですが、現在は職人の手作業により定められた分別を実施しますから、解体には日数も必要ですし、人件費なども増加します。


次の理由として、コロナ禍による原油高の影響による運賃・処理費の上昇もあるのですが、もっとも大きかったのは廃棄物輸入を段階的に停止した中国の影響が大きいようです。


これまで中国は海外からの廃棄物を原材料として再利用するために、世界中から再処理可能な廃棄物を買い続けていたらしいのですが、2017年に世界貿易機構にたいして輸入を段階的に停止すると宣言し、ほぼ実現しつつあるのだとか。


これにより国内解体施設の資源ゴミ(プラスチック・古紙・木材チップなど)の多くは行き場を失い、再生可能でありながらも処分されているようです。


余談ですが、コロナ禍の影響でプラスチックや木材チップなどが値を上げているのに、再生可能ゴミが処分されているのはオカシイのではと思ったのですが、必要な量が必要な時に入手できない処理能力の問題が根底にあるようです。


最終処分場に搬入トラックが長蛇の列を作っているのを見たことがあるかも知れませんが、再生処理する量よりも搬入される量の方が圧倒的に多く、処理が追い付いていません。


さらに再生材は割高になり、高騰を続けるプラスチックや木材チップを新規に買い付けた方が安く手に入るそうです(あくまでも聞いた話です)


いかがでしょうか?


宇都宮市内でも見かける放置空き家ですが、放置されている理由として所有者の様々な事情が存在しているかと思います。


よくあるのが相続問題がこじれて、いわゆる「争続(あらそいぞく)」となっている状態。


今回のコラムを読んでいただければお判りになるかと思いますが、空き家を放置してもメリットは何一つありません。


行政から強制処分を受ける前に、速やかに対策を検討する必要があるでしょう。


弊社は相続問題や解体に関して、また解体後の販売相談などあらゆる不動産に関してのご相談に広く対応しております。


専門士業との提携や、買い取り相談も受け付けておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。



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私、荻原功太朗(宅建士・不動産コンサルティングマスター)は資産家の皆様を対象とした、投資物件の限定情報のご紹介、コンサルティング業務を担当致しております。不動産売買のご相談についても、ご指名頂ければ対応させて頂きます。
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