新年明けましておめでとうございます。
皆様にとって幸多き年になりますようお祈り申し上げます。
新年最初のブログということもあり、門松の由来について書いてみたいと思います。
下野新聞でこのような記事が掲載されていました。
『正月を控え、玄関先などに飾る縁起物の門松作りが栃木県宇都宮市泉町の「池田竹店」で最盛期を迎えている。
同店は約1年かけて竹や松の手配などを行い、12月上旬から本格的な作業をスタート。今年は3尺5寸(約1メートル5センチ)から7尺(約2メートル10センチ)までの門松約150組を作り、飲食店やホテルなどに納品する。
竹は孟宗竹(もうそうちく)を使用。
表面に傷がなく、色のきれいなものを厳選しているという。
21日は朝から、従業員11人が工程を手分けして作業。機械で竹を切ったり手作業で竹にわらや松を付けたりして、次々と門松を仕上げていった。
池田昌可(いけだまさよし)社長(66)は「コロナに負けず、良い年にしてほしいという思いで作っている」と話した』
お正月気分を高揚させる門松ですが、その歴史についてはほとんど何も知らないことに今更ながら気が付きました。
現在において門松は、その大きさや設置費用からも一般の住宅に飾られることが少なく、市役所やホテル・飲食店など以外では目にすることが少なくなりました。
国民的アニメの「サザエさん」では、古い放送回で民家に門松が飾られている描写もありましたが、最近では時代に合わせたのか見かけなくなりました。
今更ですが、門松は正月に家の門の前などに立てられる松や竹を用いた正月飾りです。
門松以外にも「松飾り・飾り松・立松」などと呼ばれますが、これらは全て門松を指す言葉で、呼び方による飾りつけの違いはないようです。
発端は日本特有のアミニズム(生物・無機物を問わず、全ての物に霊が宿るとする考え方)から派生しており、門松を木のこずえに「宿る神」として設置し、それを依り代として「年神」を家に向かい入れる方法とのことです。
ちなみにですが「年神」とは日本神話である「古事記」に由来が記載されており
須佐之男命(スサノオノミコト)と神大市比売(カムオオイチヒメ)の間に生まれた大年神(オオトシノカミ)を指すようです。
「大年神」は穀物神であることから「五穀豊穣」を祈願していると推測されます。
一般的な解釈では門松に使われる松と竹には「松は千歳を契り、竹は万代を契る」と言われる所以があり、松と竹で神の依代の永遠を願うとの願いが込められているとのことです。
その他にも松は冬でも青々とした常緑高木であることから、新しい生命力の象徴となっているようです。
これは古来の中国でも生命力、不老長寿、繁栄の象徴とされてきたことからも、縁起物としての価値が高いのでしょう。
一説では唐代にみられた正月に松の枝を門に飾る風習が平安時代に日本に伝わったという説もあり、平安時代の宮中では「小松引き」という行事が行われていた記録もあるようです。
これは、初子の日に外出して松の小木を引き抜くという貴族の遊びがもととなり、持ち帰った「子の日の松」を長寿祈願のため愛好する習慣があったことから、門松はこれが変化したものと言う説もあるようです。
現在でも関西の旧家などでは、「根引きの松」という玄関の両側に白い和紙で包み金赤の水引を掛けた根が付いたままの小松(松の折枝は略式)が飾られている地域もあります。
色々、調べて見ると本来は「松の枝」のみを飾る風習であったことが分かったのですが、いつから「竹」が組み合わされるようになったのか調べて見ました。
竹の先端部の形状は、斜めに切った「そぎ」と、真横に切った「寸胴(ずんどう)」の2種類になります。
一節では徳川家康が生涯一度の敗北とされている1572年「三方ケ原の戦い」で、戦相手の武田信玄に対して竹を斜め、つまり「そぎ」切りにして「次回は勝つ」と念を込めたのが始まりで、その願掛けを忘れることなく年始に誓う意味を込めて、五穀豊穣祈願の「松」と必勝リベンジの「竹」を組み合わせスタイルが出来上がったのではないでしょうか。
現在の基本スタイルである門松が出来上がったのは江戸時代と、理解してよいようです。
ただし門松の様式には、地方により差があるようです。
一般的に見かけるのは関東方式の3本組の竹を中心に、周囲に短めの若松を配置し、下部をわらで巻く形態ですが、関西では3本組の竹を中心として前面に葉牡丹(紅白)後方に長めの若松を添え、下に竹を巻きます。
兵庫県西宮神社では、十日えびすで市中を巡幸する「えびす様」に葉先があたらないように松を逆さにした「逆さ門松」を飾ります。
また松が「待つ」のゴロと取れる事から、その意味付けを嫌い「杉」を飾る地域もあるようです。
門松も含めて「縁起物」は五穀豊穣、大漁追福、商売繁盛、家内安全、無病息災、安寧長寿、夫婦円満、子孫繁栄、祖先崇拝や招福祈願、厄除祈念や「ハレ」に纏わる物など多岐に渡ります。
日本独自の物として、新年の風物詩としてニュースなどでもよく見る「えびす宮総本社西宮神社」で開門と同時に「一番福」を目指して本殿まで疾走する福男や、なまはげなどの演者、力士など神の依り代になった人も縁起物とされます。
写真_えびす宮総本社西宮神社HPより
コロナ関連ニュースが連日報道され、日常生活においても振り回され続けた2020年でしたが、日本人はもとより私たち宇都宮市民も一丸となって2021年を良い年にするように縁起物に「願掛け」を行い、新たな気持ちでスタートしたいものです。
★荻原功太朗の業務について★
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。