3月8日の下野新聞_SOONにゴミの不法投棄産廃を宇都宮市が行政代執行により3月中を目処に処理するとの記事が掲載されていました。
宇都宮市が行政代執行 不法投棄の産廃処理、3月中の完了目指す_記事はこちらから
管轄は各自治体の廃棄物対策課ですが宇都宮においては新里・板戸の2箇所で実施され、廃プラスチックなどが不法投棄されました。
記事によると2箇所における有害物質濃度測定ではポリ塩化ビフェニール(PCB)が基準値以上だったようです。
同様に栃木県内全体としては、宇都宮市の2件も含め27箇所にも及んだようです。
不法投棄者が判明している場合には、県や宇都宮市なども撤去命令をおこなっていますが、従わないことから行政代執行に踏み切りました。
ちなみに「行政代執行」とは、行政代執行法という法律に基づきおこなわれる行政による強制執行です。
要件として「他の手段では義務の履行が困難でその履行の放置が著しく公益に反する」という場合に限定されていますが、基準値以上の有害物質が発生しており、撤去命令を発しても応じないのですから行政執行による処分は当然でしょう。
「行政代執行で片付けてくれたからラッキー」なんてほくそ笑んでいれば、突然、届く支払い命令書に記載された請求金額を見て目をむくことになります。
近隣住民に悪影響を及ぼすような不法投棄を放置している方に同情の余地はありませんが、行政代執行による撤去費用は、はっきりと言えば割高です。
それはそうでしょう。
個人で業者に依頼する場合などの場合には、相見積もりをとって値引き交渉をし、少しでも費用を安くするように努力するでしょう。
ですが入札方式などにより業者の選定手順が取られているとは言っても、行政がそのような値引き交渉をする必要性はありません。
ゴミの撤去費用や建物解体費用の請求金額を見て驚き、
「自分で手配すればもっと安く済んだのに………」と後悔しても自業自得です。
もっとも行政代執行の対象は不法投棄だけではありません。
「放置が著しく公益に反する」もの全てが対象です。
例えば近隣からクレームが寄せられる道路へ越境している木の伐採のほか、ゴミ屋敷などのゴミ撤去、もちろん問題としてマスコミでも取り上げられる放置空き家、その空き家を放置しておくことが危険な状態であり、公益に反すると判断されれば家屋を解体することもできます。
行政代執行における費用については、ご存じない方も多いと思いますので解説しておきます。
行政代執行法の第5条では以下のように定められています。
「代執行に要した費用の徴収については、実際に要した費用の額及びその納期日を定め、義務者に対して文書をもってその納付を命じなければならない」
この条文で注目すべきは「納付を命じることができる」ではなく「納付を命じなければならない」という点ですね。
所有する空き家を放置している方には様々な事情があります。
「相続で揉めていて解体ができない」とか「解体費用が捻出できない」などですが、面倒くさいからなんて同情の余地がない方もおられるかも知れませんが、解体したくても出来ないという所有者の事情も存在しているのです。
行政代執行は地方自治体により執行されますから、担当するのは市役所の方です。
行政代執行に踏み切る前には、書面や現地立会、訪問などで何度も改善要求を発して顔も合わせるでしょうし、解体できない理由を聞いて同情することがあるかも知れません。
そのような場合でも個人感情ではなく公益的見地が優先されますから、最終手段として行政代執行に踏み切るわけです。
「解体費用が捻出できない」理由を目の当たりに見て、個人的には支払いまで多少の猶予をと思っても「納付を命じなければならない」と法律に定めがありますから、速やかに支払い命令書を発しなければなりません。
しかも行政代執行法第6条第1項には「代執行に要した費用は国税滞納処分の例により、これを徴収することができる」と定められています。
つまり、簡単に給与や財産の差し押さえが出来てしまうのです。
ここまで解説したところで、宇都宮市の「空き家の現状」について解説します。
宇都宮市では増加を続ける「空き家問題」を解決するため宇都宮市役所のHPにも掲載されているように「第2次宇都宮市空き家等対策計画(素案)」が議論されています。
それではその公開情報をもとに宇都宮市に空き家が何件あるかというと………
★荻原功太朗の業務について★
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